〈仏教3.0〉でスッキりする!

この春、筆者の88歳になる母が他界しました。それから2ヵ月と少し経って、こんどは義理の弟と、その妻(つまり筆者の妹)を相次いで亡くすという、思いも寄らないできごとに直面し、自ずと人間の死生やその他諸々について思案に暮れるといった状況になりました。そのために、当ブログもしばらく開店休業であったわけです。実は、これらのできごとと全く関係はないと思うのですが、筆者はたまたま、去年の秋頃から「仏教」に関係する本を何とはなしに読みつづけていました。後から思うと、多かれ少なかれその読書効果によって、親族の死に際し、自分でも意外なほど平静を保つことができたのかも知れません。

アップデートする仏教 (幻冬舎新書)

さて、個人的事情を脇に置いて本題に入りますが、あらためて「仏教」に興味を持つきっかけを、筆者に偶然にも与えてくれた本があります。藤田一照師・山下良道師という二人の異色のお坊さんが、かれら自身の人生、そして現在とこれからの仏教について自在に語り合い、それを対談という形式のまま一冊にした「アップデートする仏教」(幻冬舎新書; 2013年9月刊)がそれです。本書を中心に、本書の議論を補完したり発展させている関連本のいくつかも併せて、それらのエッセンスをシリーズでご紹介していきたいと思います。なお、本書のコンセプトを巧みに象徴する「仏教3.0」という用語を、シリーズの表題に使わせていただくことにしました。

そもそも仏教を”アップデートする”とは一体何ごとでしょうか。まずそのタイトルを見て、惹かれる方もいれば、もしかすると眉をひそめる方もいらっしゃるでしょう。しかし一度ページを繰ってみるならば、両師とも只者ではないこと、普通のお坊さんと明らかに違うことにまず気づき、かれらが本音でじっくり語り合う尋常でない中身、その面白さに引き込まれてしまうでしょう。ただ、読者諸兄がどういう部分を面白く感じるかは、それぞれ微妙に異なるかも知れません。それは、仏教にどれくらい関心をお持ちか・そうでないか、あるいは、仏教とどれくらい実際的な関わりを持つか・そうでないかといった事情によるでしょう。

藤田師・山下師ともベテランの仏教者ですが、わたしたち一般人が何となく知る”日本の仏教界”においては、いかにも”異端”という呼称が似合っているように見えます。読者も、本書を読み始めるにあたって、両師のそうした表面的なプロフィールや印象を一旦受け入れるほかはありません。ところが(!)ある程度読み進めていけば、”世界”はかれらを異端と呼ばないこと、つまり日本の仏教界もやっぱりガラパゴス的であったのかと思い至ります。(筆者を含め)一般の日本人はグローバルな仏教世界をほとんど知りませんが、もしそこをヒマラヤ山脈に喩えるならば、かれらこそ、その最も高い稜線を先行するシェルパであるということに得心がいくでしょう。

本書の基本的性格は、仏教について一定以上の知識があるマニアックな読者(たとえば30代・40代のお坊さん)を想定し、仏教実践の新たな地平を指し示す一種のマニュフェストのようなもの・・・ではありますが、筆者のように「仏教について何もわかっていない」一般読者にも、単なる面白さだけでなく、「従来の仏教に対するイメージや枠を明らかに超えた」と形容したくなるような、爽快でダイナミックな革新性を感じさせてくれます。

また、自然体で行なわれたこの対談に、演出や作為的な部分はまるでないのですが、終盤に近付くと、読者(=観客)はまるで舞台のクライマックスを見るように、二人の静かな高揚感を共有できるかも知れません(本当に、カーテンコールしたくなるような)。

〈仏教3.0〉でスッキりする! その2 につづく。


投稿者: heartbeat

管理人の"Heartbeat"(=心拍という意味)です。私の心臓はときおり3連打したり、ちょっと休んだりする不整脈です。60代前半。夫婦ふたり暮らし。ストレスの多かった長年の会社勤めをやめ、自由業の身。今まで「趣味は読書」といい続けてきた延長線で、現在・未来の「同好の士」に向けたサイトづくりを思い立ちました。どうぞよろしくお願いします。